夫が今秋に還暦を迎えます。自営業なのでしばらく働く気持ちでいるのですが、これから先の生き方を考えるようになりました。
いつまでアクティブに行動できるだろう?
老親の介護はどうしようか。
そう思うと不安が募ります。
そんなとき『心の病、初めが肝心』水野雅文著の新書を読みました。心の病を重くしないコツを紹介します。
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精神科と心療内科の違いは?
『心の病、初めが肝心』の著者、水野雅文氏は東邦大学医学部教授。1961年生まれで精神神系医学が専門です。
さて、精神科と心療内科はどこが違うのでしょうか。
- 精神科は心と脳の機能不全による精神疾患を対象とする
- 心療内科は頭痛や動悸、息切れ、腹痛やトイレが近いなどストレスが大きくかかわっている身体疾患、いわゆる心身症を専門とする内科。
「心療内科、精神科」と看板にあれば精神科医が診療していることが多く、「心療内科、内科」と書かれていれば、内科医のことが多いそうです。
眠れない、だるい
著者は、精神疾患は十分に回復の可能性のある病気と力説します。早期治療すればうつ病も統合失調症も回復の可能性が高くなると書いていました。
ところで、ごく初期とはどういう症状でしょう?
「眠れない」「だるい」というような、ありふれた症状だというのですよ。ごく日常にあることなので、見逃しがちですが、ポイントです。
そういえば怠け者でずぼらな私ですが、早朝の4時に目が覚めてしまうことがよくあります。心配事があると寝付けませんし、眠り自体も浅い。
やる気が起きずに、掃除をしなきゃと思いつつ、体が動かないときもある。
なので、意外と主婦も気をつけなければならないのかも。
早期チェックリスト
精神疾患を早期に発見して、自分に合うかかりつけ医を見つけましょうと、著者は書いています。
チェックリストが本書にありました。
- この1週間で寝付きが悪かったり、朝の目覚めが早ぎることはありますか。
- 食欲不振や過食は?体重減少や増加はありますか。
- この2,3ヶ月で活動性の低下や物事に対する興味の減退がありますか。
- 日常的な問題に悩むことが多いですか
- 読書やテレビを観るのに集中できなかったり、忘れ物をしやすいですか。
- 将来についてどう思いますか。「人生は生きるに値しない」「すべてを終わりにしたい」と思うことがありますか。
- ほかの人と比べて、人前でどきどきしやすいですか。
- 強い恐怖を伴う動悸や発汗、震え、めまいの発作はありますか。
- あなたの言動が「奇妙で理解しづらい」と人からいわれることがありますか。
- 誰もいないのに、他人の声が聞こえることがありますか。
もし思いあたることが3つ以上あるとき、そして8~10までの項目にチェックがついたときは、専門家の診断を仰いだほうが安心でしょう。
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寝酒は睡眠薬より毒
睡眠は重要です。
疲れているのに眠れない状態が2週間つづくと、うつの兆候が疑われるとのこと。
そして寝酒は却って、睡眠のためによくありません。
レム睡眠を減らして、本来の脳や体の休息の妨げになるのです。
お酒の力を借りずに眠るようにしましょう。
わくわくできる人生を思い描く
定年退職すると男女問わず、うつの兆候が現れやすくなるそうです。
日常ががらりと変化しますから、あり得るかもしれませんね。
- それまで仕事を第一として会社人間だったのに、その価値観を家庭に持ち込む。
- 夫は家庭のなかの様々な問題、たとえば近所付き合いや家事、介護などの日常に目を留めるように。
- うるさく口を出して、妻を悩ます。
- 老後の蓄えや健康に不安を抱く。
まじめに生きてきた人ほど家庭内に目を向けると、気に入らないことが出てくるのかも。
わくわくできる人生を思い描くことが大切です。
定年後の30年を充実させるには
長寿社会を生ききるには希望を持つと良いでしょう。
- 自分は何をしたいのか
- 若いとき本当はどういうことがしたかったのか
- 得意なものはなにか。
- 自由時間があればやりたいなあと夢見たもの
世界一周旅行も良いけれど、むしろ農業や山登り、合唱や器楽演奏、絵を描く、小説を書くなど日常的に長く楽しめるほうがよい。
そして、働き続けるなら、働き方を変える。次の20年を見据えてゆっくり構えて、これまでと違う世界観を獲得するように。
心の病を重くしないコツ
考え方のクセを修正することは、バランス思考を身につけるうえで役に立ちます。
- つらい状況や面白くない気持ちをノートに具体的に書いてみる
- そのときの気分をレベルで数値化。悲しい80パーセント,焦り65パーセントというふうに。
- そのときどんな心配や考えが浮かんだかを列挙
- なぜそう考えたのか、根拠を挙げる
- 冷静に第三者のように反論してみる
- 根拠と反証を「しかし」でつなぎ合理的な結論をあれこれ導いてみる。それがバランス思考を育む元になる。
心の病を理解したい方にオススメの1冊。
朝日を浴びる
具体的な行動として朝日を浴びることは効果があります。
外を歩いて、青空の美しさに見とれたり、道ばたの草花のけなげさに目を留めたりするのは、心の健康に役立ちます。
楽しいことを心に刻む
辛いことや恨み、苦しみと悲しかったことを繰り返して思い出す人は多いのですが、楽しいことを心に刻みましょう。
楽しみ上手
何をしても心から楽しめない。そういう人は頭の片隅に「自分はなにをやってもだめだ」「明日はイヤな会議がある」と、注意がそこに向かっています。
小さな趣味を持つことは、大きな価値があるでしょう。そして運動は万能の良薬です。
家族に感謝の言葉を伝える
うつ病に罹患したサラリーマンのなかには「とても家族には病気のことを明かすことができない」と、さらに悩む人がいるとのこと。
家庭のなかでは、何でも言えるムード作りが大切。
子どもや妻や夫が暗い顔をしてうつむいていたら、「なにか困ったことがあるの」と聞いて、傾聴するといい。
傾聴は、相手の言葉を受容すること。自分の意見を押しつけるのは禁物です。黙って聞いてあげる、あいづちを打ちながら。
まとめ
夫の姉は、若いとき双極性障害(当時は躁鬱病と呼ばれた病)で入院したことがあります。結婚生活がうまくいかずに離婚して、心の病になったと聞いています。
また、知人の20代の息子さんは統合失調症を発症しました。幸い早くに治療して仕事に復帰。
中高年においても、身近な病気と思います。
予備知識があると、気持ちにゆとりが生まれるのではないでしょうか。
私には参考になった本です。
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